宝石の色

地球における固体物質の存在量を見ると、シリカ(酸化 硅素,SiO2)とアルミナ(酸化アルミニウム,Al2O3)が大部 分を占める。どちらも本来無色透明で、シリカ系統の宝石 には水晶、 ガーネット、 トパーズ、 翡翠、 オパールがあり、 一方アルミナ系統にはルビー、サファイア、トルコ石、アレキ サンドライトなどがある。また、エメラルドは両方の成分を含 んでいる。これら宝石の色も放射線照射により人工的に 変色させることが出来る。まるで魔法の杖である。 また、無色透明結晶の代表のもう一つはダイアモンドである。
ルビー(ruby)
ルビー(鋼玉)は本来無色のアルミナ結晶の中に、 酸化 クロム(Cr2O3), 酸化第二鉄(Fe2O3)の微量で発色する 高価な紅い宝石で、酸化チタン(TiO2)によりスター・ルビー となる。
サファイア(sapphire)
同じく鋼玉で、 酸化チタン(TiO2), 酸化第二鉄(Fe2O3) を含み青く見える。
水晶(石英,quartz)
地殻成分中最も多いシリカの結晶で、無色の他、鉄、マンガン を含む紫水晶(amethyst,アメジスト)、 黄水晶(citrine, シトリン)、 チタン(Ti)による紅色、気泡によるミルキーなど 千変万化である。地下で長年月間に天然放射線照射を 受けて褐色や煙水晶になったと云われている。 実際に 人工放射線照射により色が変る。不純物が大量層状に 入り不透明なものに瑪瑙(メノウ)があり、 多孔質なので よく薬品着色をする。 各地の鍾乳洞入口で売られている お土産品の派手な品のメノウ細工はほぼ薬品着色である。
ガーネット(garnet)
ケイ酸(ケイ素を含む酸)の各種金属塩で通常の深紅色 以外に、黄、緑、ピンク、茶、無色、黒まである。発色の素も カルシウム、 マグネシウム、 アルミニウム、 鉄、 チタン、 マンガン、クロムなど様々な金属を含む。
トルコ石(turquoise)
銅とアルミニウムのリン酸塩(CuAl6(PO44(OH)8・5H2O) の古い宝石で、 深い空の青から緑青色までの種々の青 は主に銅と不純物の鉄による。
ラピス・ラズリ(lapis lazuli,青金色)
古代から瑠璃とよばれた濃青色宝石でマグネシウム、 アルミニウムのリン酸塩MgAl2(PO42(OH)2に各種の 鉱石が混在して色調複雑。
ダイアモンド(diamond)
白く輝くというイメージに反して黄色のものが多く、その 色様も様々である。 黄色の石は低価格であるが、 オレンジがかったカナリア色は高価である。  黄色のダイアモンドには窒素(N)を多く含み、 硬度が 高い。 それに対し、 白色、 淡色、 青い石は硬度が低く、 青い石には硼素(ホウソ,B)を含む宝石の色ダイアモンド(diamond)

荘一