GGBコラム4月号

よくもまあこれだけ精密に描けたものだと驚嘆 する。果物市場、花市場、肉市場、魚市場・・・ 新鮮な商品が山積みとなり、それらを取り巻く人 たちも生き生きと生活している。今風にいえば、 これは商品宣伝のコマーシャル絵画なのかも。 「魚のある静物」などはまさに高橋由一の「鮭」その ものだ(もちろんこれらの方が新しいが)。静物を 凝視した絵はそれだけで感動を呼ぶ。その中でな ぜベラスケスの人物画が一点混じっているのか不 思議な気がする(「薔薇色の衣装のマルガリータ王 女」)。  同時に開催されている「東山嘉事展」は一転して 現代アート。遊び心いっぱいの作品が並び、見て いて自然に笑えてくる。 「不夢不無草紙」(限定200部)とあったので、係の 人に聞いたがアリマセンとすげない返事。もちろ ん図録なども無かった。

2009年3月 兵庫県立美術館
ウィーン美術史美術館所蔵・静物画の秘密展
東山嘉事展 より