GGBコラム6月号

19世紀 装飾芸術といえばアールヌーボー、アールデコはあまりにも有名で親しまれている。 同じ時代、イギリスのウィリアム・モリスは、装飾商業(ビジネス)を芸術に導いた。 ポスターやリーフレットで見るウィリアム・モリスの作品は色彩やかで、実物を目にすると少し違和感があるかも知れないが、木版手刷りのオリジナルはとても落ち着いた色彩で、植物の曲線美を見事に表現している。 壁紙、ファブリック、いすなどの室内装飾、また教会のステンドグラスは、独特な技術や表現方法で、当時の庶民から上流階層の生活や住環境に浸透していった。そして現在もその豊かなイメージは受けつがれ、様々なところで息づいている。

2009年4月 西宮市大谷記念美術館
ウィリアム・モリス展より