古来よりヨーロッパでは、卵は生命の根源であり、『生まれる芽生える』と子孫繁栄を意味し、非常におめでたいものと珍重されてきました。
キリスト教では、イースター(復活祭)にキリスト教の復活を祝って、卵の殻を染めたり絵を描いたりして親しい人や大切な人に贈り合う習慣が今に伝えられています。
19世紀帝政ロシア・ロマノフ王朝 アレキサンダー三世が、政略結婚として嫁いできた皇后フェオドロヴナを慰めるために、宮廷のお抱え金細工師ファベルジェに貴金属や宝石などを卵の形状にした宝飾卵を作らせました。
デザインの素晴らしさは言うまでもなく、ふんだんに使われている金銀宝石の見事さは溜息を誘います。
1885年に最初のインペリアル・イースターエッグが作られてからロマノフ王朝が1917年にロシア革命により滅びるまでの間、ファベルジェによって皇后のために毎年作られた宝飾卵は全部で50個あると言われており、現在は、モスクワのクレムリン博物館、英王室、モナコ王室、アメリカのフォーブスコレクションの所蔵になっています。
今日のエッグ・アートは、このファベルジェの宝飾卵を起源に、もっと身近で楽しめるものとして始まりました。
ファベルジェの装飾卵とは違い、小さなものではウズラやチキン、大きなものではオーストリッチやエミュー・レアなどの、本物の卵の殻をそのまま使って製図・カット・ペインティングし、ブレードやビーズなどを使い宝石入れや飾り物などを作ります。
皇后に喜ばれるように作られたファベルジェの宝飾卵を起源としていることから、蓋を開けることが出来たり、卵の中にストーリーを作ったりと、何か”わくわくするような仕掛け”があることがエッグアートの特徴のひとつです。
また、”瀧野和子エッグアート”はデコパージュやブリヨンワークなどの様々な要素を取り入れたり、卵を使った万華鏡を作るなど(2008年特許登録 登録No4227979)独自のエッグアートの世界を展開しています。